カメラを通して「海」という資源を 考えるきっかけになって欲しいです

月の翼

代表/カメラマン/ガイド

長谷 和典

Nagatani Kazunori

海なのに「海」を感じさせない渡嘉敷の海に度肝を抜かれ移住を決めました

出身が広島で、よく海で遊んでおり17歳の時に友人に誘われて広島の海で初めてダイビングを経験しました。
初めてのダイビングは正直暗くて少し怖かったのですが、それ以上に「水中で呼吸ができる」という感覚が楽しく、ダイビングの本数を重ねました。高校生の時から、大人になっても普通のスーツを着て普通の仕事をしたくないと思っていました。
加えて海で遊びだしてから「海が好きだから将来は沖縄に住む」という志をもち、高校卒業後に沖縄の専門学校に行ったことが機会となって、そのまま沖縄に移住しました。渡嘉敷島には、専門学校の先輩が紹介してくれたのをきっかけに訪れました。それまで広島の海にしか潜ったことのなかった私は、海なのに「海」を感じさせない渡嘉敷島の海の綺麗さに度肝を抜かれ、「ここに住もう」と決めました。

長谷 和典さん

「飛んでいるような自由なダイビングスタイル」をお客様に提供したいと独立

2000年に渡嘉敷島に移住後、渡嘉敷マリンビレッジという大きいホテルのマリン事業部のダイビングスタッフとして働き始めます。とにかく海で働くことが楽しく、同じ場所に潜っても毎日違う色や違う景色が見られる世界に飽きることなく仕事を続けることができました。海だけではなく、島の空の色も特別で、365日見ていても飽きることはありません。
しかし、12年ほど渡嘉敷マリンビレッジで働いたのち、ホテルがダイビング事業の撤退を決めました。12年という年月の中でダイビングの本数を重ねていくうちに、「自由にお客様に潜ってもらう」という自分のガイドスタイルが出来つつあったので、そのスタイルをサービスとして提供したいと思い独立を決めました。
「月の翼」というショップ名の由来は、一つに他のダイビングショップと被らないよう日本語にしたかった。もう一つにガイド経験を重ねるなかで「みんな自由に海の中で遊びたいんだ」というのを感じ、渡嘉敷の海は飛んでいるような感覚を感じられる自由なダイビングができるので、「翼」という言葉がふと浮かんできました。そこからまたふと浮かんできた潮の満ち引きと関わりのある「月」という単語を組み合わせて、「渡嘉敷の海でまるで月まで自由に飛んでいけるような翼を」という意味を込めてつけました。

長谷 和典さん

お客様の9割がカメラを持って遊びに来てくれます

月の翼はファンダイビングをメインに提供しており、海の中を自由に潜れるダイビングスタイルが、お客様がリピートしてくれる人気の秘訣だと思います。
私は海中の写真や映像をテレビや新聞、ドキュメンタリー、映画に提供する写真家の仕事もやっており、お客様の9割がショップにカメラを持って遊びにきてくれます。渡嘉敷の海は透明度が高いこともあり、決められたダイビングコースは使っていません。お客様にダイビング前に撮影したいものをあらかじめ伺い、海の中に入ったら綺麗なポイントに複数移動して、「撮りたい対象があるなら留まりましょう」という案内をしています。
例えばワイドの写真を撮影したい方でしたら、カメラの仕様と太陽の時間を確認し、「こういう感じで撮影できるんじゃないでしょうか」と事前に案内し、お好きなところでたっぷりと時間をとって撮影を楽しんでもらっています。
よく行くダイビングポイントは「とかしく」や「ハナリ」です。慶良間のダイビングポイントの特徴として、水中でも眩しい世界が見どころだと思います。カメラを構えると白い砂浜と青い海にサンゴがありその周りにデバスズメダイが群れていたりカメが泳いできたりと絵に描いたような沖縄の世界が見られます。渡嘉敷島は北と南に伸びてるので、夏は南風が吹くので北側に行ったり、冬は北風が吹いたら南の方にダイビングポイントを移すことが多いです。

長谷 和典さん

綺麗な海を次世代にも残したい、とカメラを手にします

ダイビングを始めて10年ほど経ち「綺麗な海を次世代にも残したい」という想いから水中カメラを手に取りました。
知り合いの水中カメラマンの方がいて、その方のアシスタントとして撮影に同行し勉強と経験を重ねるうちに、メディアからのオファーをいただくことが増えました。
お客様に案内するときは、構図やアングルは決められたものを撮影するのではなく自由に撮影してほしいので私から一切アドバイスはしません。私からアドバイスをするのはカメラの設定の中でも色出しの部分です。仕事柄、「映像をこう繋ぎたいから、こういう色感でお願いします」と指定された内容を撮影する必要があります。編集という手もありますが、映像を編集すると見るひとが見たら分かってしまいます。お客様には私が普段行っているような、細かい色感の出し方について教えて欲しいと言われることが多いです。私の撮影した写真を見て「こんなに綺麗な世界が本当にあるんだ」と実際に行ってみたい気持ちになって欲しいです。
一方で10年前の写真と比較するとサンゴが減っているのが目につきます。長いこと撮影を続け、今は写真を通して「自然」に対して目を向け気づくきっかけを作りたいと考えています。ダイビングをしたことがない方からすると、海の中の景色や実際に海を泳ぐカメや魚は架空の生物のように感じるかもしれません。ダイバーだからこそ見られる景色を見て、水中の生物と触れ合い、当たり前ではない「無くなる自然」を感じて欲しいです。

「こんなダイビングしたことない」とよく言われます

月の翼ではカメラを持つダイビング上級者だけではなくダイビング経験が少ない方にもフリーの時間を取り、自由なダイビングの楽しさを経験してもらっています。
ポイントに初めて行く方にはある程度「ここから先は何もないです、見どころはここです」というブリーフィングを行い、水中に向かいます。お客様には、「こんな変わったダイビングはしたことない」とよく言われます。普通、ダイビングだとガイドについて行かないといけない、と思いますが、月の翼ではダイビングポイントに到着し、自由に自分のペースで見たいものを見て、自分で撮りたい被写体を撮って遊んでいただけます。
そしてスタッフである私自身も一眼レフを持ちお客様と一緒に楽しむことが、お客様にダイビングの楽しさを伝えられる一番の方法で良い映像を撮るコツだと思っています。そのために今後さらに月の翼のダイビングスタイルを追求していきたいと考えています。

長谷 和典さん

渡嘉敷島でホエールウォッチングをやっているのは月の翼だけです

渡嘉敷島でホエールウォッチングをやっているのは月の翼だけです。沖縄本島などでは海に出てからクジラを探しますが、渡嘉敷島でホエールウォッチングする際は、島の高い山に登って、山の上からクジラを監視して「どのクジラが一番いいか」を見分けた上で船を出してウォッチングに行きます。そのためクジラまで5分という短時間で、確実にクジラに案内することができるようになってます。クジラが見れないことがほぼ無いのが特徴です。
山の上からのクジラの監視は、私が「渡嘉敷クジランド」というチームを、他のダイビングショップさんやSUPの業者さんなど5つの業者さんと協力し組んでいます。山の上からの監視をお願いし、海で船を出すのは私というチームプレーです。今年でホエールウォッチングを始めて8年目になりますが、「渡嘉敷でホエールウォッチング」の印象がついてきておりお陰様でお客様も増えてきています。

一番に海を楽しみ、知ってもらい、そして「海は資源」という事を知ってもらいたいです

以前はサンゴの保全のために生物の駆除なども行っていましたが、無理に駆除をした生物は強くなろうとします。「生物多様性」を勉強し、駆除という行為に疑問がある今は個人的に生物・自然に対して害を与えないよう、生活を送っています。
例えば、私の家族は自然にどのように影響を与えるかわからないのでシャンプーや石鹸を利用していません。そのお陰か、不思議と魚が寄ってきて肩の上に魚が乗ることもあります。
また、ダイビングでもマスクの曇り止めは自然に還るものを利用し、海中のごみを拾うのも生物が住処にしていることもあるので藻がついている場合などは拾わず、ビーチに落ちている小さなプラスチックなどを拾うようにしています。人間が自然を利用するように、自然も人間のものを利用しています。例を挙げると、自然のものだけでは身を守れない生物も中にはいて、ミジンベニハゼやナカモトイロワケハゼは瓶を住処にすることもあります。
「人間が住みやすい世界」を人間が構築している中で、自然も人間に合わせて共に生きていく道をこれから見つけていく必要があると考えています。月の翼に遊びにきて、一番に海を楽しみ、知ってもらい、そして「海は資源」という事に気づくきっかけになってくれたら嬉しいです。

長谷 和典さんが所属する
ダイビングショップ

月の翼

慶良間諸島エリア/渡嘉敷島

月の翼

渡嘉敷ダイビングサービスなら月の翼。最大4名までの少人数制で初心者の方も ブランクの空いた方でも安心して渡嘉敷でのダイビングを楽しんでいただけます。カメラ派も大歓迎!!

渡嘉敷ダイビングサービスなら月の翼。最大4名までの少人数制で初心者の方も ブランクの空いた方でも安心して渡嘉敷でのダイビングを楽しんでいただけます。カメラ派も大歓迎!!