大好きな海とダイビングに支えられて 今も目標に向かって前進することが出来ています
ダイビングサービス碧海
インストラクター
大在家 妃蕗美
Ozaike Hiromi
JALの機内誌についていた「体験ダイビングのクーポン」が初めてのダイビングのきっかけです
社会人になった22歳の時に初めて宮古島に向かう飛行機の中で、機内誌に体験ダイビングのクーポンがありました。私は東京の青梅市出身なのですが小さい時から親に海に連れて行ってもらっており、さらにボディボードを趣味で11年続けていたほど海はずっと大好きでした。一緒に旅行に来ていた親友は海が大嫌いで「絶対にやらない」と言っていたのですが、何度目かの一生のお願いをして宮古島で初めてのダイビングを経験しました。初めてのダイビングはすごく覚えていて、イムギャーマリンガーデンというポイントでビーチダイビングをしたのですが、親友ができている耳抜きが私はなかなかできませんでした。しかしインストラクターさんが耳抜きができない中でも水深を変えながらガイドをしてくれたので、楽しい思いで帰ってくることができたのを覚えています。
宮古島で初めてのダイビングを経験した後、海嫌いの親友も「ダイビングなら一緒にやっても良い」と言ってくれたので東京に帰ってきてライセンスの取得を目指しました。その際に担当の方に「耳抜きができなかったんです」と相談したら「テレビを見ながら一週間CMのたびに耳抜きをしてみたらできるようになるよ」と言われ実践したら本当にできるようになり無事にライセンスを取得することができました。
過労で倒れ、「人生変えなきゃ」とダイビングの道に進むことを決めました
大学卒業後は新卒で入社した会社で新車ディーラーの営業職をしていたのですが、極度の過労のため倒れ、緊急搬送されてしまいました。これがきっかけで「もう人生変えなきゃ」と思い大好きな海の仕事をしようと考えました。趣味だったボディボードのプロになることや、スポーツショップの店員なども考えたのですが、一番長く続けられそうで安全が確立されており、さらに誰かに「ありがとう」と言われる仕事という軸で考えた結果、ダイビングの道に進むことを決めました。
ダイビングを仕事にすると決めて、オープンウォーターのカードを持って伊豆にあるショップに「ダイビングのプロになりたいんです」とお願いし通い始めました。ディーラーの営業職をしながら休みの日はスキルアップに充て、ダイビングのプロの入口と言われるダイブマスターの資格を取得しました。
初めての体験ダイビングの際にお世話になった宮古島のショップさんにずっとお客さんとしてお世話になっていたのですが、スタッフがいなくなって大変というのを聞き、ディーラーの営業職を退職し、宮古島のショップに移ることを決め宮古島に来ることになりました。
「"インストラクター”としてダイビングの仕事をしたい」という目標のため生後6か月の息子を抱え試験に合格します
伊豆でダイブマスター取得後、宮古島への移住を決めましたが、単純に宮古島にきてダイビングの仕事をするのではなく、インバウンドが流行っていた時期でもあったので海外のお客様を誘致できるようなインストラクターになりたいという思いがあり海外への語学留学を計画しました。
宮古島で3か月働いた後にフィジーで3か月語学留学、その後オーストラリアに2年の留学の予定だったのですがフィジーから帰ってきたタイミングで旦那との間に妊娠が発覚。本当に悩んで、オーストラリアで産もうかとも思ったのですが妊娠重症悪阻になり緊急入院。入院している間に用意していた飛行機のチケットのフライトの日も過ぎてオーストラリアには行けず宮古島に残ることになりました。これだけオーストラリアへの準備をしたのに行けないのは、宮古島の神様に引っ張られたのだと思って前向きに考えています。ただ、私は夢と目標があって宮古島に来たのだからそれは諦めないし、子育てをするだけなら宮古島にいる必要はない、と旦那に伝えたところ「俺も全力でサポートをする」と言ってくれました。
生まれるまでの間はシュノーケルのガイドをメインに、生まれる数週間前までガイドをし、出産後は生後1ヶ月くらいからダイビングの仕事に復帰しました。これだけ真剣に取り組めたのは本当に自分の夢、「"インストラクター”としてダイビングの仕事をしたい」というのを諦めたくなかったのが大きかったと思います。インストラクター試験は生後6か月の息子を抱えて受け、担当には「授乳をしながらテストを受けた人は史上初だ」と言われながら、合格しました。
何があっても自分を助けられる技術を身につけられる何よりも安全性の高いダイビングが「テクニカルダイビング」です
インストラクター取得後は旦那がオーナーの碧海で働き始め、実際にインストラクターになりできた新しい夢や目標を着実に叶えています。
例えば、今碧海で実際に提供しているテクニカルダイビングが一つです。宮古島では今でも3-4社しか対応していない珍しいメニューです。旦那の師匠がテクニカルダイビングの第一人者の方で、海上保安庁の特殊救難隊の指導なども行っており、旦那が「テクニカルに興味があるんです」と話したところ「僕が教えますよ」と言っていただき碧海で始めることができました。
最初はテクニカルダイビングに対して興味本位だったのですが、師匠が説明してくれた時に「どんなことがあっても自分で自分を助けられる絶対に死なない方法を考えるダイビングです」というのを聞き、一般のレジャーダイビングよりもより高い水準で潜れる技術を身につけることができる、何よりも安全が確立されたダイビングだということがわかりました。
宮古島のポイントで遊ぶなら、マニフォールドタンクがおすすめです。これは大深度潜水ができるもので、一般的なレジャーダイビングだと最大40mまでですが、マニフォールドタンクを利用すると55mまで潜ることができます。宮古島の海中は起伏が激しい地形になっているので一番下は35mや40mまで達します。レジャーダイビングだと下まで降りて2-3分で上がってこなくてはいけないのが、テクニカルダイビングでは今まで行けなかったような40m深水のところで15-20分遊ぶことができます。同じ宮古島でも、テクニカルダイビングでは今までに見たことのない景色を見ることができるんです。
テクニカルダイビングは安全の面からも、取り入れる人が増えて欲しいと思っています
テクニカルダイビングはどのショップでも提供できるものではありません。碧海でテクニカルダイビングの提供を始めた5年前と比較しても選択する人は増えましたが、お客様の中でも向き不向きがあります。向いているのは自分自身のスキルを過信しない、慎重になれる方です。
まずみなさんが最初に言われるのが「難しい」です。今までは背中に一本しか背負っていなかったタンクが横にタンクが増えるので重くなり、スキルを磨くのは大変です。しかし、だからこそ自分の自信にも繋がりますし、我々としてもテクニカルダイビングをする人は増えて欲しいと思っています。それは安全性の面が一番理由として大きいです。ダイビングは慣れが出てくると自己流に走りやすいのですが、テクニカルダイビングを知っていただくとより安全に潜ることができますし、数日間連続で潜る方は身体の負担も軽減することができます。
夏場は八重干瀬、冬場は下地や南岸のダイビングポイントに行くことが多いです
碧海では夏場はお客様からのリクエストで八重干瀬に行くことが多いです。世界最大の珊瑚礁群と言われているだけあって、サンゴが本当に綺麗です。砂地も綺麗で経験が少ない方はもちろん、上級者の方も楽しめるドリフトと地形がメインのポイントもあります。
冬は下地か、南海岸に行きます。南海岸は「南岸ブルー」とよく言われるのですが、海の青が他のポイントよりも濃くなります。南岸の一番下は岩場ではなく砂地になっているので、地形からどんと落ちた真っ白な砂地に反射する青色がすごく綺麗で地形も色も楽しめるのが特徴です。南岸はファンダイビングとテクニカルダイビングの方をメインでガイドしており、「牛さんこわいよ」というポイントがあるのですがそこは長く真っ暗な洞窟の中を通ることができます。「牛さんこわいよ」ほど長くて広い洞窟は宮古島の中でも他にはなく、特異なポイントなので中上級者向けのポイントになっていますね。
私のおすすめは、八重干瀬ならプロビデンス、ハナダイアーチ、ナダイコーナー、下地ならパナタ、南岸なら牛さんこわいよです。
せっかく宮古島まできてダイビングをしてくれるのなら楽しい思いをして帰って欲しいです
ファンダイビングやテクニカルダイビングで来てくださるお客様は、至らないわたしたちを支えてくれる方がすごく多く、私たちは本当にお客様に恵まれています。また、ホームページを見て「碧海なら安心して潜れそう」と体験ダイビングに申し込んでくれる方も多く、「他のショップではうまくできませんでした」という方や「人生で初めて潜ります」という方がきてくださります。
私たちはお客様のレベルに合わせてチーム分けを行うことで、どんな方でもダイビングを楽しんでもらえるよう工夫をしています。中には体験ダイビングからどんどん上手になって今ではテクニカルダイビングをしている方もいます。
お客様にはせっかく宮古島にきてダイビングをしていただくので楽しい思い出を持ち帰って欲しいという思いがあります。私も初めてのダイビングで耳抜きができませんでしたが、今はインストラクターまでできるようになっています。耳管が開いていないなど体質的に難しい方以外はコツさえ掴めれば、海はどんな人に対しても平等で、世界共通で楽しめるので、昔怖い思いをした人も「やっぱり海って良いものだな」と感じてもらえたら嬉しいです。
人間がまだ知らないことがたくさんある海で非日常を感じて欲しいです
今後はショップとして、テクニカルダイビングを広めていきたいというのが一つ目標としてあります。もう一つの目標として、海洋保全活動を進めていきたいです。宮古島の海は海流の影響でどのビーチにも大量の漂流ごみが流れ着きます。旦那は20年ほど前からオニヒトデの稚魚を数えるモニタリングの仕事やサンゴの被度の測定なども行っており、海洋保全活動に協力的だったのも一緒に働き始めたきっかけのひとつです。より多くのダイバーの方に海洋ごみ問題などの海洋保全活動に興味を持っていただけるように、活動していきたいと考えています。
海は人間がまだ知らないことがたくさんある地球上で唯一の場所です。だからこそ楽しいし、新しい発見があるし、365日同じ海に潜っていても知らない世界に出会えるのでその非日常を楽しんでもらいたいと思っています。ダイビングに対して、不安に思っている人や怖い思いをしたことがありもう出来ないと思っている人がいたら、そういう人ほど相談してもらい、またチャレンジしてもらいたいと思います。